新しい人材を育て・産み出すことが、
 新しい時代を育て・産み出すことになる。
 その人にしか出来ない方法と技術を身につけるために、
 現場の知恵と経験を伝える「学校」を開始します。

橘川幸夫(デジタルメディア研究所)

開講の趣旨

 敗戦からスタートした日本の戦後社会は、先達たちの叡智と努力によって、豊かな社会を実現しました。しかし、それを実現してから、すでに長い年月が経ち、世界情勢も大きく変わり、技術の進歩も加速度を増しています。私たちは、豊かさの中にいながら、漠然とした不安を感じていると思います。それは、戦後社会を築いた方法論が素晴らしかったため、それを否定して、新しい未来の方法論に向かっていないからではないでしょうか。

 戦後確立した教育システムは、国民が「豊かさを求める」という共通の目的のために整備されました。それは、物資の生産を拡大し、サービスを充実するために、企業組織を拡大していくためのものでした。大学にはさまざまな学部がありますが、多くの受験生にとって、学部選択は多分に気分的なもので、学部で学ぶことより、自分の希望する大学に入学し、卒業資格を獲得することが目的でした。それは、より偏差値の高い大学を卒業することが、社会的に評価の高い大企業へ入社するためのパスポートだったからです。
 しかし、そのような幻想は、「豊かな時代」が完成した頃から、意味を失っています。意味を失っているにも関わらず、戦後の方法論から抜け出すことができなかったのが、我が国の学校経営者であり、企業の採用人事であり、学生たちでした。
 企業組織の部品としての一員を目指すのではなく、その人ならではの独自の考え方、技術、方法を見に付けた人材が、これからの日本社会に必要だと思います。そのことは、文科省からも「アクティブラーニング」「21世紀型スキル」などが語られはじめ、多くのトライアルがはじまっています。しかし、必要なことは手法ではなく、思想だと思います。思想とは、根本を見つめ直して、そこから出発する力です。戦後社会の方法論の本質を見つめ直し、新しいスタートを開始しなければならないと思います。

 2017年の初頭に、文科省の中教審の答申として「専門職大学」という構想が登場しました。55年ぶりの高等教育の制度改革です。これを、単に、現状の高等教育の部分的修正や補完的改良にしては意味がない。55年ぶりの改革とは、55年前に完成した戦後教育の制度システムを超える、新しい方法論を獲得する契機にする必要があるということです。
 そして、これは単なる現状の企業活動を支援するために産学共同ではないと思います。真剣に企業社会を巻き込み、「これからのありうるべき社会」を想定し、「これからの社会に必要な新しい人材」を育てることです。言ってみれば「未来企業のための人材教育」であるべきです。

 私たちは、コンセプト・バンクという、各界のキーマン人材のネットワーク活動を推進してきました。このネットワークをベースにして、「未来職業研究会」を開始しています。これからの社会がどうなるのか、どうあるべきかを考え、そのための人材開発をどうすればよいかという問題を検討しています。世の中では「なくなる職業」を探すこが流行っていますが、「新しく現れる職業」を考えるべきだし、その活性化こそが、私たちの未来を賑やかに発展させていくでしょう。
IOT時代の新しいセキリティ関連の人材開発が必要でしょう。
 膨大に膨れ上がっていくデータ世界を分析するデータサイエンティストの養成は急務でしょう。
 地域活性のプロデューサーやマネージャーをきちんと育成する必要があるでしょう。
 インバウンド観光客に対応出来る人材も必要でしょう。
 その他もあらゆる産業や状況に、今は、ごまかしながら対応している部署があるはずなのです。そこを根本的に解決しましょう。

 専門職大学の大事な特徴の一つに、教える側が、一定程度の社会経験を有するものとあります。企業社会の現場で身につけた知識と経験を、若い世代に継承していく制度にもなりおます。コンセプト・バンクの多様な仲間と相談しながら、達人大学の構想を進めて行きます。

ステップ計画

2017年度
◇将来において人材育成の可能性のあるテーマごとに、関係者、関係企業と打ち合わせを進めていきます。
◇可能になったところから、短期のセミナーを実施していきます。関係企業との提携のない独自のセミナーも開発していきます。
◇「非常勤講師養成講座」を定例化し、企業OBの教師化を進めていきます。